農地バブル?


カンザスとサマセットの農家はなぜ中国人に祝杯を捧げるべきなのか。米国や英国の農家は、少し明るくなる材料がある

家の人は概して悲観的だ。景気について聞かれると、「昨年より悪く、来年よりはまし」と答えるのが彼らの特徴的な反応だ。だが、農家も今は、もう少し明るくなるべきだろう。米国の農地の価値は実質ベースで1990年の2倍に跳ね上がっているからだ。同じく実質ベース見ると、英国の農地価格は過去10年間で135%上昇した。さらに驚くべきことは、信用収縮の後、農地価格が住宅や商業用不動産よりずっと早く回復したことだ。英国の農地価格は2008年初頭の水準を15%以上も上回っている。ある意味、これは奇妙だ。エコノミストらは今回の危機が第2次世界大戦以降、最悪の危機だと認めている。恐慌の再来を示唆する声も聞かれる。

低金利とコモディティー価格高騰

 それなのに今回、農地価格は1930年代よりはるかにしっかり持ち堪えたし、コモディティー(商品)価格が下落する一方で、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ解消のために高金利政策を取り、農地価格が実質ベースで3割程度下落した1980年代よりも底堅い。米国の農業王国の中心に位置するカンザスシティー連銀は今年、農地価格の高騰は、低金利と高いコモディティー価格の組み合わせが原因だと結論付けた。以前であれば、低金利には安いコモディティー価格が伴った。結局のところ、中央銀行は通常、需要低迷と低インフレに応じて利下げするからだ。ところが今回のサイクルでは、先進国の脆弱な需要と新興国の旺盛な需要に大きな開きがある。米国や欧州の消費者はもはやコモディティー価格の決定者ではなく、価格受容者なのである。 これは自分たちの賃金上昇が物価に後れを取る消費者にとっては好ましくないが、農業従事者とっては喜ばしいことだ。また農家は、外貨準備を国債購入に回し、先進国の金利を低く抑えるのに一役買っているアジア諸国の中央銀行に感謝してもいい。米国と英国の農業従事者が次に密造酒(もしくはスクランピー)のグラスを傾ける時は、中国人に祝杯を捧げるべきだろう。

バブルの兆し

 だが、今回の活況は度を越してしまったのだろうか? エール大学の経済学者で、株価と住宅価格の過度な高騰を予言したロバート・シラー教授は既に、農地が次のバブルの対象になるかもしれないと指摘している。シラー教授は今年3月、プロジェクト・シンジケートのウェブサイトの論説で「農地の供給量に増加が見られない中で、農地熱の伝染を裏付けるストーリーが出揃った。1970年代の米国とちょうど同じ状況で、当時は食糧価格の高騰懸念が20世紀唯一の農地バブルを引き起こした」と論じている。農地はこれまで、抜群とは言わないまでも、そこそこ優れた長期投資だった。米農務省が初めてセンサスを行った1850年以降、農地価値は年率3.4%のペースで上昇してきた。コンサルティング会社ウェインライト・エコノミクスのデビッド・ランソン氏によれば、1967年以降の年間上昇率は平均6.2%に上るという。米国の農地価格は実質ベースで、過去1世紀で150%上昇した。農地の上昇率は食糧価格の上昇率を大幅に上回っており、この傾向は過去20年で加速してきた。もっと最近の価格上昇について、もう1つ重要なのは、農地価格の上昇率が賃貸料の上昇率を上回っていることだ。 英国王立公認評価人協会(RICS)によると、英国では2003年下半期に3.4%だった耕地の賃貸利回りは、2011年上半期に1.75%まで下落した。カンザスシティー連銀によると、2004年以降、米国の農地価格が40%上昇したのに対し、賃料の上昇率は17%にとどまっている。これは今回のブームに投機的な要素が絡んでおり、金融筋の投資家が農地のことを、食糧価格上昇への賭け、または、より一般的なインフレへのヘッジと見なしていることを示唆している。ランソン氏は、金の価格と比較した場合、米国の農地は1919年以降の平均で、1エーカー当たり金2.4オンス前後に相当すると言う。その比率も今年半ばには、わずか1.6オンスになっていた。しかし、それは必ずしも、農地が安いことを意味するわけではない。単に金が高いだけなのかもしれないからだ。

待ち受ける未来が日本流の停滞だったら・・・

 価格反転の危険は重大だ。農家は通常、食糧価格が上昇すると、作付けを増やす。その結果、トウモロコシの価格がより「正常」な水準に戻れば、農地価格は20%下落する恐れがある、とカンザスシティー連銀は警告する。そして、未来が日本流の停滞だとすれば、インフレヘッジに対する需要は消える。それ以上にひどいのは、金利上昇が穀物価格の下落とセットで起きる事態だろう。そうなれば農地価格は半値に落ち込み、土地を担保に借り入れを行っている農家は立ち行かなくなってしまう。やはり農業従事者にはまだ、陰気になる理由があるのかもしれない。

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