チャイナ・リスク

 社名に「China」あるいは「Sino」が付く企業の株式や債券を買うことは、かつては財産を築く確実な方法だった。世界で最も活気のある新興国の一片に対する需要はそれほど強かった。ところが今、こうした取引が後退している。投資家がほぼすべての中国関連銘柄を避けているため、ニューヨークや香港、トロントなど、世界で最も評判の高い株式市場に上場している中国企業の株価はここ数週間で暴落している。緊張が高まったのは、外国に上場している中国企業が次々と不正行為や会計の矛盾、その他コーポレートガバナンス(企業統治)の欠陥を指摘されたからだ。トロントに上場している林業会社で、
ジョン・ポールソン氏が運用する370億ドルのヘッジファンドが筆頭株主となっている嘉漢林業(シノフォレスト)は、2週間前に売り上げと資産の水増しを指摘されてから、株価が80%以上下落した。会社側が強く否定しているにもかかわらず、だ。2017年に満期を迎える嘉漢の社債(発行残高6億ドル)は6月16日、額面1ドルに対して約55セントで取引されていた。

粉飾決算や不正行為で相次ぐ売買停止・上場廃止

 実際、空売り投資家のカーソン・ブロック氏が率いる調査会社マディー・ウォーターズが最初に嘉漢の不正行為を指摘して以来、各国の債券市場は多くの中国の発行体を締め出してきた。米国では過去1年間で少なくとも20社の中国企業の株式が、監査役の辞任や会計上の問題を受けて、ニューヨークの証券取引所で売買停止あるいは上場廃止に追い込まれている。 「これは、中国でビジネスを行う非常にグレーな部分について、すべての人に発せられた警鐘だ」。中国株式市場の専門家で、『Red Capitalism: the Fragile Financial Foundation of China’s Extraordinary Rise(赤い資本主義:中国の目覚ましい台頭の脆弱な財政基盤)』の著者、フレイザー・ハウイー氏はこう言う。「これが何をもたらすかと言えば、可能性が高いのは中国企業の再評価だ。リスクが思っていたよりはるかに高いため、皆、今までと同じように中国にカネを払う気にはならないだろう」とハウイー氏は言う。

裏口上場の末に

 偽造された銀行取引明細書、架空の資産や顧客、開示されない関連会社との取引は、ここ数週間、数カ月の間に、外国で上場されている多くの中国企業で発覚した不正疑惑のほんの一部だ。これらの疑惑はウォール街の空売り投資家の間で餌を奪い合いのような状態を引き起こし、米証券取引委員会(SEC)は調査を開始、ナスダックは上場規則を強化することになった。過去10年間、「ゴールドラッシュのメンタリティー」が何百人もの中国人起業家を世界各国の証券取引所へと向かわせた、と民間情報機関クロールの中国部門責任者バイオレット・ホー氏は言う。一部は詐欺的だったかもしれないが、多くは単に国際的な投資家が期待する厳しいコーポレートガバナンスの基準を満たす用意ができていなかっただけだという。多くの中国企業は、既に株式を上場しているペーパーカンパニーを買収して、米国の証券取引所に紛れ込んだ。逆さ合併や裏口上場として知られるこうした取引によって、中国企業は新規株式公開(IPO)の厳しい審査を回避することができたのだ。こうした中国企業の株価は急落している。米国で逆さ合併を行った中国企業の株式を追跡しているブルームバーグの指数は、年初来44%下落しており、中国本土経済が一時的な難局を迎えているという不安によって落ち込みが一層大きくなっている。これに対し、S&P500株価指数は同じ期間に上昇している。

活発化する空売り

 株価が下がったところで買い戻すことを期待して、株式を借りて売却する空売り筋は大金を稼いできた。データ・エクスプローラーズによると、米国で上場している中国株の空売り需要は年初から2倍に膨れ上がっており、これらの企業の貸株比率は6%超と、S&P500の平均2.5%よりはるかに高くなっているという。「投資家は、あらゆる中国企業を払いのけている」。香港のヘッジファンド、セントラル・アセット・インベストメンツのCEO(最高経営責任者)、エディー・タム氏はこう話す。「2~3カ月経っていったん状況が落ち着いたら、買い場が訪れるだろう」だが今のところ、弱気筋がひとり勝ちの状態だ。かつて市場の暴落を回避する才能でマジシャンのハリー・フーディーニに例えられた、フィデリティ・インターナショナルの花形証券コンサルタント、アンソニー・ボルトン氏でさえ大きな損失を被っている。

辣腕投資家でさえ大損

 ボルトン氏が運用するフィデリティ・チャイナ・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドは今年、20%以上下落している。ロンドンに上場しているこの投資信託の株式は6月半ば、2010年5月以来初めて純資産を下回る水準まで下落し、手品のような手法を中国に当てはめるボルトン氏の能力に対して、投資家が信頼を失ったことを示している。不正行為の指摘が増えているため、投資家の不安がすぐに和らぐ可能性は小さい。世界の規制当局や弁護士、監査法人は、仮に不正行為を証明できたとしても、資産を凍結したり、裁判所の命令を執行したりすることは言うまでもなく、中国企業に関する明確な情報を手に入れる際にも、非常に大きな障害に直面している。「これらの詐欺容疑は、解決されないまま長い間続くこともあり、セクター全体の投資マインドにダメージを与える」と、オーストリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のアジア向け信用取引戦略の責任者オーウェン・ギャリモア氏は言う。「必ず早急に明確な一線が引かれ、企業が詐欺か詐欺でないかが発表されるというような話ではない」と同氏は言う。一方、アナリストたちは、噂が渦巻いているため、極端な値動きが続くと予想している。正真正銘の詐欺を行った企業が詐欺だと証明されることは決してないかもしれない――そうした企業では、単に株価がゼロに向かって急降下していくかもしれないのだ。

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Re: No title

○○○さん

 お詳しいですね。今から買って間に合うかどうか・・・・

 本当に中国企業は惨いです。僕が手を出さない理由もそれです。
プロフィール

禅師

Author:禅師
投資顧問 

今年は先行投資、出費のみ

実績:

2016年 先行投資50万円
2015年 先行投資300万円
2014年 先行投資300万円
2013年 先行投資250万円

住所:東欧(?まで)
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