いつかどこか来た道


 靴磨きの少年から株式投資のヒントを聞くようになったら、株は売り時だということは誰もが知っている。だが、北京のタクシー運転手から老後の蓄えをどのアパートに投資すべきか聞かされるようになったらどうだろうか?中国の不動産市場(よく知られている通り、ヘッジファンド投資家のジェームズ・チャノス氏が「ドバイの1000倍、もしくはそれ以上ひどい」と呼んだ市場)が巨大なバブルか否かを判断することは、恐らく今、世界で最も重要な問題の1つだろう。

 中国の不動産市場は巨大なバブルか否か?

 中国の経済成長が住宅建設に極端に依存しているだけではなく、今では多くの経済国、中でもブラジルやオーストラリアといったコモディティー(商品)輸出国の運命も世界第2位の経済大国である中国からの需要にかかっている。地政学の観点からも中国の不動産市場は重要だ。住宅建設は中国経済にとって極めて大きな推進力となっているため、もし不動産バブルが弾けるようなことがあれば、その衝撃で国内総生産(GDP)成長率が1ケタ台の前半まで低下する恐れがある。共産党の見るところ、社会不安と、政治的な代表権を求める声を抑え込んでおくためには、中国経済は年間7~8%以上成長しなければならない。

 新たな富を手にした中国の中産階級は、共産党が経済運営を誤り、巨大な不動産バブルが生じた結果、自分たちのピカピカのアパートやヴィラ(郊外型の戸建て住宅)の価値が暴落するのを目の当たりにしたら、以前ほど進んで独裁的な一党支配を受け入れないかもしれない。では、中国の不動産市場ではバブルが起きているのだろうか?中国各地に林立する空っぽのアパート群や建設途中のアパート群は、バブルの存在を示唆している。だが、残念なことに、筆者が話をする最も見識ある人々は意見が割れている。巨大なバブルが起きていると言う人もいれば、バブルは存在しないと言う人もいるし、仮にバブルが起きているにせよ、絶対に弾けないと言う人もいる。

 バブルのことを「資産価格の高騰局面で投機を支える借り入れの急増」と定義する向きにとっては、中国の不動産市場はこの型にはまらない。というのも中国では、可処分所得に対する家計債務の比率が2010年時点で45%程度にとどまっているからだ。この数字は、債務比率が55%だった1960年当時の米国より低く、米国の不動産バブルが2007年にピークをつけた時の130%というレベルには遠く及ばない(証券会社CLSA調べ)。

 しかし、もしバブルを「特定資産の価格と潜在価値の基本的なミスマッチ」と定義するのであれば、中国不動産は間違いなく最有力候補になるはずだ。北京市郊外の空港の近くには、「パームビーチ」「キャセイヴュー」「ル・レマン・レイク」「メゾン・ド・ブルボン」といった名前の高級住宅街が数十件ある。仰々しい名前にもかかわらず、一番立派な住宅地でさえ、ヒューストンやラスベガスの近郊外縁部の平凡な住宅地のようだ。多くの物件は粗悪な作りで、家は密集している。裏庭はごく小さな土の一片、窓の外の景色は隣家の側壁といった具合だ。

 ロンドンやマンハッタンの高級物件を買える値段は持続不能

 だが、北京のまともなヴィラの相場はおよそ4000万元(600万ドル)で、ロンドンの立派なマンションやマンハッタンの高級アパートを買える値段だ。近隣地域では似たような住宅街が30件ほど建設中で、周囲には何キロにもわたって人けのない農地が広がっている状況では、このような高値が持続可能だと主張するのは難しいだろう。北京の高級ヴィラは極端な例で、市場全体を象徴するものではないが、中国全土の多くの都市では、平均住宅価格が家計の平均年収の10倍以上に上っている。これに対し、先進国では平均年収の3倍程度が標準的な価格と考えられている。中国以外のアジア諸国では、年収の5倍から7倍というのが、より一般的な価格だ。
 
 中国不動産の強気筋は、公式統計はいわゆる「グレーな収入」(公式統計に一切表れない賄賂やキックバック、脱税などによる収入で、一部の試算では、報告されている収入の4分の1にも相当する)を数えていないため、実際の収入を大幅に過小評価していると主張する。また楽観論者たちは、常軌を逸した高値は、各地で再開発のために取り壊される都心部の無数のビルに住む世帯に与えられる政府補償金にも支えられていると主張する。こうした政府補償のおかげで、移転する世帯は収入が示唆するよりはるかに高いアパートを手に入れられる。

 バブル崩壊を招かずに価格を引き下げられるか?

 北京やその他の大都市に、計算上は億万長者となる月収2500元のタクシー運転手やブルーカラーの労働者が大勢いるのは、このためだ。取り壊された住まいの代償として受け取ったアパートの価値が上昇しているのだ。だが、バブルを否定する筋金入りの強気筋でさえ、中国の住宅価格は高すぎ、今の水準では長期的に持続不能だということを認めている。中国と共産党、そして世界経済がさらされる危険を考えると、問題は、中国政府が巨大なバブル崩壊を引き起こすことなく価格を徐々に引き下げられるかどうか、だ。

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2013年 先行投資250万円

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