転載  勝又さん ブログより



中国は、アジアの軍事覇権を目指し着々と手を打ってきた。ここへきて、にわかに「反省ムード」へ変わっている。海上自衛隊が静かに力を蓄えていることに気づいたのだ。しかも、南シナ海で島嶼帰属を巡って紛争を起こしているフィリピンとベトナムへ、海上自衛隊艦船が入港した現実によって、肝を冷やしている。新参者の中国海軍が、かつての日本海軍の歴史を引き継ぐ海自艦船に質的に見劣りするからだ。





海自艦船のフィリピンやベトナム寄港は、たまたまの現象である。だが、中国は神経をとがらせている。海自の艦船が南シナ海を航行する以前は、日本をずいぶん軽く扱っていた。人民解放軍が1週間攻撃すれば、日本へ壊滅的打撃を与えられる。こういう無神経なニュースを流していた。ところが、海自の艦船が南シナ海へ姿を見せただけで、「黒船現る」といった調子である。弱い犬ほど吠えると言う。これまでの「日本侮辱」は、まさにこれに該当する。





中国メディア『環球網』(3月24日付)は、「日本の潜水艦が新安保法でフィリピン訪問、東シナ海と南シナ海で中国を挟撃」と題して、次のように報じた。





『環球網』とは、中国共産党機関紙『人民日報』系列の国際情報紙である。過激なニュースで煽り立てることで知られている。しばしば、「日本弱体論」のニュースを売り物にしているが、今回は「日本警戒」へとトーンが変わった。日本が、怖れられる立場になったのだろうか。





①「海上自衛隊の潜水艦・護衛艦のフィリピンやベトナムへの派遣は、安倍政権が新安保法の施行をアピールするために実施した。海上自衛隊は練習潜水艦『おやしお』を3月下旬から4月にかけて、フィリピンに派遣する。フィリピンではスービック湾に寄港する。フィリピンでは親善交流や共同訓練を行う予定だ」。





フィリピンのスービック湾は、米海軍基地が1992年まで存在した場所である。アジア最大の米海軍基地だった。今年から再び米海軍が利用する。ベトナムのカムラン湾は、南シナ海に面し、戦前のフランス植民地時代から軍事拠点として利用された。ソ連(ロシア)は1979年から2002年まで、太平洋艦隊の基地として利用した。冷戦時代、スービック湾の米軍基地やカムラン湾のソ連軍基地は、中国を「締め上げる」存在だった。中国にとっては戦略上、不気味な存在である。





こうした因縁を持つ両海軍基地へ、海自の艦船が寄港することに中国は神経を使っているのだろう。ただ、海自艦船が南シナ海へ寄港するまで、中国は海自を軽蔑してきた。それが一転、警戒モードとは不思議な民族である。実態を見ないと現実認識が改まらない。そういう洞察力のなさが、中国の欠陥である。





②「練習潜水艦『おやしお』には護衛艦の『ありあけ』と『せとぎり』の2隻も同行。フィリピンの次に、ベトナムのカムラン湾にも初寄港する予定だ。中国人民解放軍国防大学の李莉教授は、海自の潜水艦と護衛艦のフィリピンやベトナムへの派遣について、安倍政権が新安保法の施行をアピールする『シンボル的事件』であると指摘する。日本は自衛隊を国外に出して防衛面で他国と協力させると同時に、米国との安全分野における新たな協力モデルを構築したいと考えている」。





新安保法制が、日本を専守防衛から一歩、外へ出させたのは事実である。これをもって、日本が「戦争のできる国」となったと批判されている。ただ、これまで自衛隊の存在を軽視してきた中国にとっては、正確に日本の防衛力を認識する機会になるはずだ。それが、尖閣諸島に対する奇襲攻撃を抑制する動機になろう。





③「新たな協力モデルとは、(尖閣諸島など)東シナ海の問題と(南沙諸島、西沙諸島など)南シナ海の問題を連動させ、両方面から中国に圧力をかけ、同時に『海における中国の脅威論』との世論を煽ることによっても中国に圧力をかけることが目的である。李教授は、『おやしお』について、『アジアでは排水量で最大クラスの通常動力の潜水艦であり、性能も先進的』と説明。フィリピンとどのような共同訓練を実施するかにもメッセージが込められるはずと考え、注視していると発言した」。





中国は、日米の新たな防衛協力モデルとして、東シナ海と南シナ海の防衛が連動しているという認識を表明している。日本の新安保構想は、東シナ海防衛と同時に、南シナ海ではフィリピンとベトナムに協力して、中国の無法な領土拡張を阻止する意思を表明した。中国が、日本領海を蹂躙して、勝手に「第一列島線」という海上防衛ラインを引いている現状は、国際法上も許し難い暴挙である。独立国の日本としては、これを阻止するのは権利であり、義務である。中国が日本に抗議できる話しではない。中国が、「第一列島線」を撤回するのが本筋である。





日本の潜水艦は、通常型潜水艦である。原子力潜水艦比べてスクリュー音が格段に低く、敵艦から捕捉される懸念が極めて低い、とされている。中国の潜水艦は、その点で「ガラクタ」音を発しており、簡単に日本の潜水艦にその位置を捕捉される代物と言われている。この優秀な日本潜水艦が仮に、フィリピンのスービック湾とベトナムのカムラン湾に基地を設けて警戒に当たるような事態になれば、中国艦隊は大恐慌を来すに違いない。中国海軍は基地からの出撃が不可能になる。中国は最もそれを怖れているのだろう。そうであるならば、無駄な軍拡と周辺国を軍事威嚇することを止めることである。軍拡の無駄を知るならば、周辺国を軍事威嚇せず、地域の平和に貢献することだ。





『朝鮮日報』(3月27日付)は、コラム「迅速に動く米国、後手に回る中国」を掲載した。筆者は、同紙政治部次長のアン・ヨンヒョン氏である。





④「米国は昨年12月、南シナ海の南沙諸島に中国が建設中の人工島から12カイリ以内に初めて駆逐艦を航行させ、1月には西沙諸島の中建島(トリトン島)でも同じような作戦を行った。これに対して中国は、米国が南シナ海における自国の領有権全般の脅威になりつつあるとして緊張を高めている。しかも中建島は人工島ではなく、中国が1974年にベトナムと交戦して占領した島だ。現在、米国は南シナ海では東南アジア諸国と、東シナ海では日本と緊密に協力している。韓半島(朝鮮半島)では北朝鮮による核実験とミサイル発射をきっかけに、韓国との軍事協力を強化した。つまり米国は中国に対する防御態勢を一瞬にして構築したのだ」。





中国の外交的な弱みは、北朝鮮を除いた親密な関係国が存在しないことだ。カンボジアなど、経済的な支援でつなぎ止めているが、身体を張って中国と運命を共にする国家でない。まさに、「孤軍奮闘」によって周辺国を軍事威嚇しているに過ぎない。この虚しさをかみしめたことがあるだろうか。米国が「中国に対する防御態勢を一瞬にして構築した」と言われるのは、アジアでの同盟国が多いという現実を背景にしている。





⑤「米国の攻勢は、中国の経済成長に陰りが見え始めたことが原因だ。中国の経済成長率は25年ぶりに6%台にまで落ち込み、米国などの資本は中国人民元の売りに乗り出した。春節(旧正月)の香港市場での暴落も、その背後に米国資本の動きがあるとの話が中国で広まった。つまり香港ドルの乱高下は米国の陰謀によるものというのだ。最近、中国は米国からのさまざまな分野での攻勢に対抗するだけで精いっぱいだ。中国は北朝鮮が4回目の核実験を強行した際にも、米国が『北朝鮮への原油輸出をストップせよ』と要求するとは予想もしていなかったようだ。ちなみに、韓国はこの時点で中国の役割に大きく期待していたが、中国は『米国の要求は受け入れられない』という言葉ばかりを繰り返し、それによって韓国における対中感情は一気に悪化した。習主席は北朝鮮による核実験から1カ月後に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領との電話に応じたが、時はすでに遅かった」。





米国は、中国経済の破綻を知り抜いている。急減速は時間の問題といっても過言でないほど、内部矛盾が進行している。政治面でも動揺しており、習近平氏への不満は高まっている。習氏へ辞任を勧告する文章が、国内のインターネットに現れた。その中で、習夫人暗殺をほのめかす文言もある。現実に、習夫人暗殺の陰謀が摘発された。中国共産党は一枚岩でない。権力闘争がピークを迎えている。内外で問題山積である。





⑥「中国の動きが常に一歩後手に回っている背景には、共産党による一党独裁体制が影響しているようだ。決められた方向性を見直し、新たな決定を下すのに多くの時間がかかるのだ。中国共産党の対北朝鮮政策も、2014年の下半期から北朝鮮を引き入れる方向に転換した。核実験などで北朝鮮が中国の言うことを聞かなくなっても、その方向性を一気に見直すことができなかったのだ。硬直した共産党独裁の影響は、米国を超えようとする中国にとって今後も大きな障害になるかもしれない」。





習近平氏の「中国の夢」は、確実に冷却化に向かっている。中国経済の破綻は、彼自身の政治的破綻に繋がりかねないリスクを伴う。今年から始まる中国の「第13次計画」は、旧ソ連経済の破綻した「第13次計画」と重なりあっている。本質的に、非市場経済の中国が抱える矛盾は、旧ソ連経済の矛盾と変わらないのだ。計画経済は、非現実的な存在である。これにすがってきた中国政治の運命も同様であろう。





(2016年4月3日)

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