また自作自演の詐欺

 与野党の対立によって米国の政府機関に再び閉鎖の危機が迫っています。米国は、2011年8月や2013年1月にも債務上限の引き上げをめぐって与野党が対立し、政府機関が閉鎖ギリギリまで追い込まれました。今回も最悪の事態は回避できる可能性が高いといわれていますが、状況は流動的です。

 米国では10月から新年度が始まりますが、与野党の対立から、まだ来年度予算案を可決できていません。このまま10月に入ると予算が執行できないため政府機関が一時閉鎖されてしまいます。

 野党共和党が多数を占める下院は9月20日、政府機関の閉鎖を回避するため12月15日までの暫定的な予算案を可決しました。しかしこの予算案には、オバマ大統領が提唱している医療保険制度改革(通称オバマケア)に関する予算は含まれていません。オバマ大統領は下院の決断に強く反発しており、この予算案を拒否する構えです。


[写真] 米議会は暫定予算案を成立させられるのか/Matt Churchill photo

10月には債務不履行の可能性も
 双方が妥協できない場合には、政府機関が一時閉鎖されてしまう可能性があるというわけです。やっかいなことに問題はこれだけではありません。10月中旬には再び政府債務が上限に達する見込みとなっており、こちらについても上限引き上げの承認が実施されない限り、米国政府がデフォルト(債務不履行)を起こしてしまいます。

 政府機関の閉鎖や債務不履行といったキーワードだけを見ると、米国は大変な事態に陥っているのかと驚いてしまいますが、必ずしもそういうわけではありません。米国は日本と比べると税金の使い道や政府の借金に対する国民の見方が厳しく、予算がより厳格に運用されています。このため、こういった問題がしばしば発生するのです。

 米国では政府債務の上限(政府が借金できる金額)が法律で決められており、これをオーバーすることは決して許されません。経済は毎年拡大していますから、政府の借金は自然に増えていきます。しかし米国では、借金が上限に達した場合には、そのたびに議会の承認を受けて国債を追加発行しなければならないのです。現在の仕組みがスタートした1940年以降、米国は90回以上も議会承認を行い債務上限を改定しています。

 ちなみに現在の法定上限は16.7兆ドルで、これは米国のGDPとほぼ同水準です。日本はGDPの2.5倍近くの債務を抱えていますから、米国であればとっくに破綻ということになってしまいます。つまり米国はまだまだ借金する余裕があるのですが、このことが逆に交渉をギリギリまで引き延ばせるという安心感につながっている面は否定できません。

 場合によっては本当に政府機関の一時閉鎖に突入してしまう可能性もあります。予算案の可決と債務上限の引き上げをめぐっては、しばらく混乱が続くことを覚悟した方がよいでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)


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